協業の立ち上がりから、大企業のシステム開発や新規事業推進の現場で起こりやすい壁、そしてAI時代における協業の進め方まで、実務の視点から議論を交わしました。

「新規事業 大会議 2026」の講演会場の様子

協業の背景から見えた、現場起点の課題

今回の対談の出発点になったのは、三井住友海上火災保険における募集文書チェック業務でした。藤田氏は、営業現場にいた当時からこの業務に非効率さを感じていたと振り返り、その問題意識がAICEとの協業にもつながっていった経緯を語りました。

ここで高橋が一貫して示していたのは、協業を前に進めるには、早い段階から対象業務を理解している人材が入ることが欠かせないという考えです。業務理解のすり合わせに時間を費やすのではなく、実運用を見据えた議論から始められるかどうか。この差が、協業の立ち上がりを大きく左右します。

大企業のシステム開発で起こりやすい壁

高橋が現場で繰り返し向き合ってきたのは、技術そのものよりも、むしろプロジェクトを遅らせる組織や構造の問題です。システム開発では、現場から離れた場所で判断が重なり、意思決定に時間がかかることがあります。システム全体を把握している人が限られている状態では、小さな変更であっても前に進むまでに時間を要し、結果としてプロジェクト全体のスピードが落ちていきます。

さらに難しいのは、現場と要件定義の距離が広がることで、本来必要な範囲を超えて機能が積み上がっていくことです。便利そうに見える機能を加えるたびに、開発だけでなく、その後のテストや運用の負荷まで膨らんでいきます。作る段階では前進しているように見えても、運用に入った途端に重さが表面化する。高橋が繰り返し向き合ってきたのは、そうした“作りすぎ”が現場を苦しくしていく場面でした。

しかも、システムは作って終わりではありません。制度変更への対応や改修を重ねながら使い続けていくものだからこそ、最初から大きく作り込みすぎないことが重要になります。

AICEが重視する、AI時代の協業の進め方

AICEは、業界知見とスピードの両方を重視しながら、協業を進めています。

対象となる業務や現場を理解している人がプロジェクトの中にいることは、その前提のひとつです。何を作るかだけでなく、それを実際の業務にどう組み込むかまで考えるには、現場の制約や判断の前提を踏まえていることが欠かせません。技術だけでは前に進まない場面が多いからこそ、共通言語を持って議論を始められることが、協業の土台になります。

同時に、短いスパンで使える形まで持っていき、早い段階で確かめることも重要です。AIの精度が出るかどうかだけでは、現場で使い続けられる仕組みになるとは限りません。実際の業務に入ったときに無理なく回るか、運用に乗るか。そこまで見ながら進めることが、結果として手戻りを減らし、協業を前に進めやすくします。

「新規事業 大会議 2026」で登壇するAICE代表取締役COO 高橋将生

生成AIを活用した開発が広がるいまは、速く作れること自体よりも、何を確認し、どこを担保するかを見極めることの方が重要になっています。だからこそ、まずは小さく始め、短い期間で形にし、現場で使えるかを確かめながら次の判断につなげていく

AICEは今後も、業界知見とAI技術を掛け合わせながら、現場で機能する仕組みづくりを支援してまいります。

登壇概要

  • イベント名:新規事業 大会議 2026
  • 日時:2026年4月15日(水)
  • 会場:幕張メッセ 国際会議場 Y会場
  • コース:④役員・事業部長 コース - オープンイノベーション編
  • セッション名:スタートアップと共に目指す成長戦略 ~既存企業が次の一歩を踏み出すためにスタートアップの力を借りる実践事例~
  • 登壇者:三井住友海上火災保険株式会社 シニアクロスセクター・イノベーションフェロー 藤田 健司氏 × AICE株式会社 代表取締役COO 高橋 将生

※ 本記事は発表当時の情報です。AICEは2026年5月に本社を東京都新宿区西新宿(新宿住友ビル)へ移転しました。

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